とも家事をやってみて、見えてきたこと
「やってみよう。」
前回の座談会で、それぞれの家庭が選んだ「とも家事」。
Yさんは、夫に冷蔵庫整理を、妻はゴミ出しを担当し、普段とは違う家事をお互いに体験してみること。
Tさんは、慌ただしい朝の負担を少しでも軽くするため、夫に週末、お弁当のおかずを一品作ってもらうこと。
Sさんは、夫の単身赴任でワンオペ育児が続く中、帰省中の夫に夕食づくりをお願いし、その間は子どもたちと遊ぶ時間をつくること。
それぞれの家庭が選んだ「とも家事」は、暮らしの中の困りごとや、「こうなったらいいな」という思いから生まれた、小さな一歩です。
今回は、実践して感じたことや家族の反応についてお話を伺いました。
「これ使うの?」から見えてきたこと(Yさんの場合)
最初にお話を伺ったのは、Yさんです。
前回、夫が「少しずつでもできることからやっていく」と話してくれたYさん夫婦。話し合いを重ね、今回は「何を」「どんなふうに」担当するのかを具体的に決めていきました。
- Yさん
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夫には、『負担にならない範囲で家事をしてほしい』と伝えました。その時に意識したのは、相手が嫌な思いをしないような伝え方をすることでした。
夫は、『働き始めたのに、今まで通り家事や育児を任せてしまって申し訳なかった。帰りが遅い日や土日出勤もあり、すべてに関わることは難しいけれど、できることはやっていきたい』と話してくれました。
私は整理整頓が苦手なので、夫には掃除を中心に協力してほしいと伝えました。
そこで今回、夫には冷蔵庫の整理をお願いし、私は、これまで夫が担当していたゴミ出しをやってみることにしました。
- Yさん
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冷蔵庫の近くから離れられなかったんです!何でも捨てられちゃいそうで(笑)。
それでもちょっと心配だったので、『捨てようと思ったものは、一回袋に入れておいて』ってお願いしたんです。そしたら、ぽいぽい袋に入れながら『えっ、これ使うの?』『いらないものがいっぱいあるね。』って言われちゃって(笑)。
でも、どれもまだ使う予定のものばっかりなんですよ……
『これは今日使う予定なんだよ』『これは明日のお味噌汁に入れるから』と献立を伝えると、夫も『なるほど』と納得してくれました。冷蔵庫って、ただ食材をしまっておく場所じゃなくて、『今日は何を作ろうかな』『これはいつ使おうかな』って考えながら管理しているので、夫からも「意外と手間がかかるね。」と、ちょっと気持ちをわかってもらえたように感じました。
今まで、あまり家事について話すことはなかったんですけど、家事を交換してからは会話が増えたように感じています。最近では、献立も一緒に考えてくれるようになりました。
- Yさん
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最後までやってみたら、すごくすっきりしたんです。『あ、ここまでやって一つの家事なんだな』って思いました。ゴミを捨ててから子どもを預けて、いつも通りの時間に仕事に行こうとすると、いつもより少し早く家を出なくちゃいけない。実際にやってみて、そういう段取りも含めてゴミ出しなんだなって気づきました。
- Yさん
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今は、夫がゴミ集めからゴミ出しまで全部やってくれています。そうしたら、私自身、ゴミの日を気にすることがなくなったんです。
今までは『今日はゴミの日だな』『忘れないようにしなくちゃ』って、どこかで気にしていたんですよね。でも今は、そうやって“気づく・考える”ことからも少し解放されました。
夫が『ゴミ出し忘れた!』って焦ることもなくなって、私も安心できるようになりました(笑)。『やって』と言わなくても、夫が自分で考えて最初から最後までやってくれることもうれしくて。家事を『手伝う・手伝ってもらう』というより、一緒に家庭をまわしているように感じています。
今回の『とも家事』を決めるとき、ご夫婦ではどんなことを話し合いましたか?
実際に家事を交換してみて、いかがでしたか?
一方、Yさんも、これまで夫が担当していたゴミ出しを最後までやってみました。
これまでは、ゴミの分別や袋をまとめるところまでがYさんの担当、ゴミ置き場まで運ぶのが夫の担当でした。
その後、ゴミ出しはどうしていますか?
「いつやるか」に気づくこと、考えること、相手に声をかけること。そうした目には見えにくい部分も、家事の一つ。
今回の「とも家事」を通して、Yさん夫婦の中には、「手伝う・手伝ってもらう」から、一緒に家庭をまわしていくという新しい感覚が生まれていました。
「一品」がくれた心のゆとり(Tさんの場合)
続いてお話を伺ったのは、Tさんです。
前回の座談会をきっかけに、家事について夫婦で話し合ったTさん夫婦。 話し合う時にTさんが意識したのは、夫がやりたくない家事をお願いするのではなく、「やれるかもしれない」と思える家事を一緒に探すことでした。
- Tさん
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夫は、もともと創作することが好きで、料理も楽しんでやってくれることがこれまでもあったんです。そこで、話し合いでは、『土日の昼食や夕食を作る』『お弁当のおかずをストックする』という案が出ました。
土日は出かけることもあること、そして自分自身がお弁当づくりに負担を感じていたこともあって、『週末にお弁当のおかずを作る』ことに決めました。
- Tさん
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週末には、夫自身が好きな鶏肉を使って、お弁当の主菜をまとめて作ってくれました。
作るのは冷蔵保存できる分だけなので、月曜日と火曜日のお弁当分くらい。それでも、私にとってはもう十分で。月曜日と火曜日は、主菜がある。そう思えるだけで、『全部自分でやらなきゃ』という気持ちが、少し軽くなりました。
- Tさん
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この前も、外で食べたうどんを家で作ってくれたんです。そのうどんを食べた息子が、『おいしい!』と、とても喜んでいました。
- Tさん
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『〇日はお弁当いらないよ』って、早めに教えてくれるようになったんです!今までは直前だったのに。
今回の『とも家事』は、どのように決めたのでしょうか?
Tさんは、夫が取り組みやすい曜日にすることや、家事をしてもらうことで自分の時間や気持ちにどんな余裕が生まれるのかを伝えることも意識しました。
実際にやってみて、いかがでしたか?
Tさん自身は、時間がない日に冷凍食品を使うことに、どこか罪悪感を覚えることもありましたが、主菜を作ってもらえるようになってからは、冷凍食品を使うことが減り、その罪悪感もなくなったといいます。
今回の「とも家事」を通して、夫は「キッチンに立つことが特別なことではない感覚になった」と話していたそうです。
また、お弁当づくりだけでなく、外で食べて「おいしい」と思った料理を家で再現してくれることも。
さらに、お弁当づくりをきっかけに、夫の変化も感じるようになりました。
一品のおかずから始まった「とも家事」。
その小さな一歩から、Tさんだけでなく、夫にも少しずつ変化が生まれていました。
思うようにいかない中で、見えてきたもの(Sさんの場合)
最後にお話を伺ったのは、Sさんです。
前回、夫が家事の時短の工夫を提案してくれたSさん夫婦。単身赴任という状況もふまえて、帰省したタイミングでできることは何かを、あらためて話し合うことにしました。
- Sさん
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夫が単身赴任中なので、普段は私が家事や育児をしています。仕事を始めてからは、以前より掃除をする頻度が減ってしまって。でも、無理をしすぎず、自分ができる範囲で掃除や片付けをしていきたいと思っています。
夫とも、単身赴任中は頻繁に帰ってくるのは難しいけれど、家族が少しでも楽しく、ラクに暮らせるように、便利家電も使いながら生活できたらと話していました。
夫は掃除ならできるけれど、料理はちょっと苦手みたいで(笑)。でも、『電子レンジを使った料理ならできそう』という話になったので、帰省した時には夕食づくりをお願いして、その間、私は子どもたちと遊ぶ時間にしてみようということになりました。
- Sさん
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実は、子どもたちの体調不良が続いてしまって……。看病が続き、毎日があっという間で、前回決めたことを意識する余裕もほとんどありませんでした。
でも、夫が帰省した時には、私が声をかける前に、玄関まわりや外の掃き掃除、ゴミ捨て、お風呂掃除などを進んでやってくれて。子どもたちも、お父さんと一緒に掃除を手伝ってくれました。
『ありがとう。助かったよ』って伝えたら……すごい、どや顔でした(笑)。」
- Sさん
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実は…子どもの具合が悪いことを伝えた時に、『大変だけど、頑張って』って連絡がきたんです。もちろん、励まそうとしてくれた言葉だったことは分かるんですけど、『もう少し寄り添ってほしかったな』とも思いました。
- Sさん
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『大丈夫?』とか、『何かできることある?』とか……。そんな一言があったら、気持ちが違ったかなって思います。
今回の『とも家事』については、ご夫婦でどのように話し合われたのでしょうか?
実際にやってみて、この一か月はいかがでしたか?
声をかけなくても夫が進んで動いてくれたことには、Sさん自身も驚いたといいます。
今回の出来事を通して、改めて「感謝を言葉で伝えること」の大切さを感じたそうです。
その後、ご主人とのやり取りで印象に残っていることはありますか?
例えば、どんな言葉があったらうれしかったですか?
離れて暮らしているSさん夫婦。すぐに何かをしてもらうことが難しい中で、Sさんは、かけてもらう言葉についても振り返りました。
思うように「とも家事」を実践できなかった一か月。
それでも、声をかける前に夫が家事をしてくれたこと、「ありがとう」と伝えた時の夫の反応、自分がつらい時に感じた「もう少し寄り添ってほしい」という思い。
予定通りにはいかなかったからこそ、家族との関わりの中で感じたこともありました。
3つの家庭、
それぞれの「やってみよう。」
冷蔵庫の整理とゴミ出しを交換してみた
Yさん夫婦。
お弁当のおかずを一品作ることから始めた
Tさん夫婦。
そして、思うように実践できない
一か月を過ごしたSさん家族。
3つの家庭が取り組んだ「とも家事」は、
内容もやってみた結果も、
それぞれ違いました。
一か月を振り返った3人は、
次の一歩について、
こんなふうに話してくれました。
- Yさん
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これまでは、夫のできていないところや、足りないところばかり見ていたのかもしれません。でも今回、家事を嫌がらずにやってくれたことが、素直にうれしかったです。次は、食器洗いにも挑戦してもらえたらいいなと思っています。
- Tさん
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夫にお弁当のおかずを作ってもらったことで、私も助かりましたし、夫にとってもプラスになる部分があったのかなと思います。次は、おかずをもう一品増やしてもらったり、お弁当箱を自分で洗ってもらったり、少しずつできることを増やしていけたらいいなと思っています。
- Sさん
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夫が自分から動いてくれたことは、すごくうれしかったです。私からは『ありがとう』『助かったよ』と伝えたんですけど、夫からも『ありがとう』って言ってもらえたら、もっと嬉しいなと思います。
「ありがとう」って、いつ伝えればいい?
Sさんのお話にも出てきた「ありがとう」という言葉。
今回の座談会では、家事に「終わり」がないからこその難しさについて、こんな声もあがりました。
「家事には終わりがないので、『ありがとう』を言い出したら、その都度ずっと言い合わなければいけない気がしてしまいます。」
そこで、三木さんに聞いてみました。
家事って終わりがないですよね。「ありがとう」って、いつ、どんなタイミングで言えばいいんでしょうか?
感謝を伝える言葉は「ありがとう」だけではありません。元気いっぱいに「いただきます」「ごちそうさま」を伝えることや「お疲れ様」のひと言、相手の話をじっくり聴いてあげることも、感謝や「あなたを大切に思っていること」の表現になります。
「ありがとう」は「自分がそう感じたとき」にいくらでも伝えていいし、それ以外でも日常的に感謝を感じ合うことが大切です。
3つの家庭の「とも家事」を振り返って
3つのご家庭の話し合いや実践を見守ってくださった
三木さんに、お話を伺いました。
Q1
3つのご家庭では、実際に「とも家事」をやってみたことで、それまで気づかなかったことが見えてきました。
思うようにできなかったからこそ感じたこともあり、それぞれ違った変化がありました。3つのご家庭の実践を聞いて、どのようなことを感じられましたか?
「相手のできること」と「自分の困っていること」の重なり合うところがどこか? そうした視点を3家族とも持たれていたのがとても印象的でした。これは「とも家事」を考える上でとても重要な視点です。そして、とも家事がママだけじゃなく、パパにとっても家族の助けになっているという実感に繋がっているのが嬉しいですね!
Q2
3つのご家庭とも、相手の状況や気持ちを考えながら、自分たちなりの「とも家事」を決めていました。
夫婦で家事について話し合うときに、大切にするとよいことはありますか?
「とも家事」では「お互いが家族のためにそれぞれがんばっている」という前提のうえで話しあう必要があります。「自分だけが大変だ」という気持ちで話し合いをすると、相手も「自分だって」となってしまいます。お互いへの労いを前提とした上で、家事の偏りをどうしていくか。それが大切です!
Q3
「とも家事をやってみたいけれど、何から始めたらいいか分からない」という方に、まず一つやってみるとしたら、三木さんはどんなことをおすすめしますか?
今回の3つのご家庭のように、話し合いをすることをまずは目標にしましょう。
そのためには、「自分が何に困っているのか」を書き出してみるといいです。
相手にやらせることを目的とするのではなく、暮らしが上手く回るための工夫を家族で一緒に考えるのがとも家事です!
第3回を終えて
三木さん、ありがとうございました!
「これならできそう!」という一歩から始まった、3つの家庭の「とも家事」。
実際にやってみると、気持ちが少し楽になったり、相手の家事の大変さに気づいたり。一方で、思うように実践できないこともありました。それでも、それぞれの家庭に「やってみたからこそ見えてきたこと」がありました。
大切なのは、最初からうまくやることではなく、やってみた中で感じたことを家族で話しながら、自分たちの暮らしに合う形を探していくことなのかもしれません。
「ちょっと大変」と感じていることと、家族の「これならできそう」が重なるところはどこでしょう。
今回の3つの家庭の実践をヒントに、皆さんもできることを一つ見つけて、わが家らしい「とも家事」を始めてみませんか?
今日からはじめるとも家事
□ 自分が「ちょっと困っている家事」を一つ見つけてみる
□「ちょっと困っている」ことと、家族の「これならできそう」が重なることを探してみる
□できることを一つ決めて、まずはやってみる
「とも家事」を自分事として、
できることからはじめてみましょう!


